Piper TTSとSuperClonica:小型デバイスか、オリジナル音声か
Piperは高速なローカルのニューラル音声合成システムで、Home Assistantの音声や、スクリーンリーダーNVDAの読み上げの選択肢として知られています。音声はVITSで学習してONNXに書き出す方式で、元のプロジェクトはRaspberry Pi 4向けに最適化されていました。2025年10月に元のリポジトリはアーカイブされ、開発はOpen Home FoundationのOHF-Voice/piper1-gplで続いています。
SuperClonicaもローカルで音声を合成しますが、重点が違います。Supertonic 3の音声をJSONファイル1つで扱い、作者による音声のカタログと依頼制作があります。Piperは当社の比較表に入っていないため、公式リポジトリの事実だけをもとに、それぞれの向き不向きをまとめます。
Piperの仕組み
Piperの音声は1つずつ独立したONNXモデルとJSON設定で、1言語向けに学習されています。テキストを音素に変換するためにespeak-ngを組み込んでいます。現行パッケージはpip install piper-ttsでインストールでき、コマンドラインツール、Python API、HTTPサーバー、C/C++ライブラリが付属します。CUDAによるGPU高速化は任意です。
音声リストはアラビア語やカタルーニャ語からベトナム語やウェールズ語まで39言語をカバーし、ロシア語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、中国語も含みます。ただし日本語と韓国語はありません。
ライセンス:エンジンと音声ごとの条件
現行エンジンのpiper1-gplはGPL-3.0で、アーカイブされた元の版はMITでした。クローズドな製品にライブラリを組み込むなら重要な違いです。音声にはそれぞれ独自の条件があり、音声リストは各音声のMODEL_CARDを読むよう求め、制限の強いライセンスの音声もあると注意し、Piperを個人利用と音声合成研究のためのものとしています。
Supertonic 3はOpenRAIL-Mで、禁止用途のリストを定めたモデル全体で1つの無償ライセンスです。SuperClonicaで購入した音声は自分のプロジェクト用で、転売はできません。
新しい音声:Piperの学習とSuperClonicaの学習
Piperは短い録音から声をクローンしません。新しい音声を作るには、書き起こし付きの録音データセットで学習する必要があります。公式ガイドは既存のチェックポイントからの追加学習を勧めています。公式音声の多くはVRAM 24〜48 GBのカードで学習され、8 GBで成功したという報告もあります。
SuperClonicaなら、正確な書き起こし付きの5〜10秒のきれいな録音があれば始められます。学習は自分のNVIDIA GPUで行い、チェックポイントを聞き比べて、完成したJSONを無料でダウンロードできます。GPUがなければ作者に依頼するか、カタログからデモ付きの既製音声を選べます。
速度とハードウェア
Piperは小型デバイスのために作られており、そこが最大の強みです。当社は計測しておらず、比較表でも評価していません。
Supertonic 3には約400 MBのベースモデルとエンジンが必要です。主な動作環境はデスクトップ、ノートPC、サーバー、ONNX Runtime Web経由のブラウザで、Raspberry Piでの計測データはありません。8コアのデスクトップCPUでは、SuperClonicaはリアルタイムの6.4〜9.7倍速と見積もっており、エンジンはCPUでSupertonic 3の標準クライアントより平均61%速く動きます。
Piperを選ぶべき場面
日本語や韓国語の読み上げ、Piperのリストにない声、プロジェクト専用に依頼した声が必要なら、SuperClonicaが向いています。次の用途ではPiperが合っています。
- Raspberry Piなどの小型デバイス、スマートホームの音声アシスタント、Home Assistant。
- カタルーニャ語、ウェールズ語、ペルシア語、カザフ語、ネパール語、スワヒリ語、中国語など、Supertonic 3が対応していない言語。
- 既存のシステムに組み込むC/C++ライブラリや、そのまま使えるHTTPサーバー。
- GPL-3.0と、選んだ音声のライセンスで問題のないプロジェクト。