オフラインで使えるElevenLabsの代替
ElevenLabsはクラウドの音声プラットフォームで、ブラウザやAPIから使い、音声は同社のサーバーで生成されます。SuperClonicaはその逆で、音声ファイルをダウンロードし、ネット接続の有無に関係なく自分のPCで音声を生成します。
両者は置き換えのきく関係ではなく、多くのプロジェクトではElevenLabsのほうが手軽です。どちらが合うか判断できるよう、実際の違いを整理しました。
クラウドの音声合成か、手元の音声ファイルか
ElevenLabsには、コード不要のWebアプリと、PythonとTypeScriptの公式SDKを備えたREST APIがあります。企業向けには、自社クラウドで動かすプライベートデプロイメントも用意されています。いずれにせよ、音声合成は呼び出して使うサービスです。
SuperClonicaでは、Supertonic 3の音声がJSONファイル1つで手に入ります。エンジンを入れ、ベースモデル(約400MB)を一度ダウンロードすれば、以降の処理はすべて手元のCPUやGPUで行われます。
プライバシー:テキストの行き先
クラウドのTTSでは、読み上げる台本、メッセージ、文書がすべて事業者のサーバーに送られ、その規約に従って扱われます。広告のコピーなら問題になることは少ないでしょう。しかし医療記録、社内文書、未発表のゲームのセリフとなると話は別です。
ローカルの音声合成なら、テキストはどこにも送られません。SuperClonicaのサーバーは何を読み上げているかを知りません。扱うのはアカウント、購入、音声のダウンロードだけです。ログインはGitHubで、支払いは暗号資産です。
遅延とオフラインでの利用
クラウドへのリクエストには通信の往復が加わり、サービスにつながることが前提になります。ローカルのエンジンにはそのどちらもありません。当社の見積もりでは、SuperClonicaは8コアのデスクトップCPUでリアルタイムの6.4〜9.7倍速で音声を生成し、10秒のセリフなら約1.0〜1.6秒で仕上がります。機内でも閉じたネットワークでも同じです。
そのため、音声を製品に組み込むこともできます。プレイヤーのPCでNPCのセリフを生成するゲームや、ONNX Runtime Webでブラウザ内でモデルを動かすWebアプリなどです。
サブスクリプションか、音声を持つか
ElevenLabsは月額または年額のサブスクリプションで提供されており、利用量はプランの範囲で計上されます。
SuperClonicaでは、作者が米ドルで決めた価格で音声を一度だけ購入します。無料の音声もあります。ファイルはライブラリに残り、文字数を数える人はいません。どれだけ生成できるかは手元のハードウェア次第です。購入した音声は自分のプロジェクト用で、転売や再配布はできません。
ElevenLabsのほうが向いている点
ElevenLabsが先を行っている点もあり、はっきりさせておきます。
- 言語:ElevenLabsのモデルは標準中国語を含む数十の言語に対応しています。Supertonic 3は31言語で、中国語はまだ非対応です。
- すぐに使える声:録音からのクローンや、説明文からの声の作成がブラウザ上でできます。SuperClonicaでは、独自の声は学習するか依頼する必要があります。
- セットアップ不要:Pythonもモデルのダウンロードも要らず、自分のハードウェアで何かを動かす必要もありません。
- 幅広いプラットフォーム:音声エージェントなど、ほかの音声ツールも同じアカウントで使えます。
SuperClonicaが向いている場面
次のような場合はSuperClonicaが合っています。
- テキストを端末や社内ネットワークの外に出せない。
- 生成量が多く、従量課金の負担が大きくなる。
- オフラインで、または配布するアプリやゲームの中で音声を使いたい。
- サブスクリプションに縛られず、音声をファイルとして手元に置きたい。